コーディネーター:渋川 悠太(しぶかわ ゆうた)

訪問歯科では、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手のほかに「コーディネーター」が一緒に伺います。
「コーディネーターって何をする人?どんな人?」
らいおん歯科水道橋のコーディネーター、渋川さんにお話を伺いました。
また、訪問歯科に来てもらったついでに歯ブラシなどの口腔ケアグッズも買えるとのこと。
そのあたりのお話も伺いました!

―らいおん歯科って、かわいらしい名前ですね。

ありがとうございます。
覚えてもらいやすく、親しみやすい名前ということで「らいおん歯科」にしました。
医療法人立靖会の17医院目の歯科医院で、「らいおん歯科」という医院名では初めての医院です。

―コーディネーターさんは訪問現場に一緒に行かれるんですか?

基本的に同行しておりますし、事務所の中で運営もやっています。
そういうマンパワーは大事なので!

―訪問先で「歯ブラシなどの物販」もしていると聞いたのですが。

はい!市販のものと変わりない値段ですが、患者様の中には「先生が使っているものがいいわ」「先生がお勧めしているから、これがいいわ」という方もいます。
「通院が出来ない」ということは、「買いに行くことも難しい」ですしね。

―確かに。先生が使っているものが絶対いいです!

患者様から「先生が使っているものがいいです」と言っていただけることがすごく多いので、すぐに出せるようにしていますし、ない場合は「次回持ってきますね~」とお話しします。

―訪問時に歯ブラシなど持っているのですか?

はい、車に歯ブラシなどの物販できるものが入っています。
例えば、先生が使うジェルは常に持ち歩いていますし、ポリグリップ的な入れ歯を吸着させるものもご用意しております。
試供品も持っています。
「使ってみてよかったから、欲しいわ」などのお声をいただきます。

―ほしいです、試供品。(笑)

当院から買わなくても「使ってみてよかったから、ドラッグストアさんで探してみた~」と言ってもらえます。
理想としては、歯医者さんが来なくなるのが一番いい、トラブルがなくなるのがいいんですよ。
そういう意味ではご家族様にも働きかけをして、僕らが必ず持って行かなきゃならないのではなくて「自分たちで買ってみるわ」と手が一つ離れれば自立にもつながっていくと思います。
「日常のケアが出来ること」が目的なので、ご自身で買っていただいても、僕等から買っていただいても、どちらもウエルカムです!

―どちらで買ってもいいことが分かり安心しました。ちなみに、売れ筋トップ3は?

よく持ってきてほしいと言われるのは、コンクールのうがい薬、緑色のやつですね、あれは皆さんほしいと仰います。
市販でも売っていますが、持ってきますよ。

ベロの歯ブラシ、舌(ぜつ)ブラシとかも結構ほしいと言われます。


歯ブラシのセットは、初めて行ったときにプレゼントしています。

―プレゼント、いいですね!ネットで買ってもお店に買いに行くのも手間が掛かりますから、絶対一番楽です。

割引がある訳じゃないですけどね。
あとは、保湿剤「ビバ・ジェルエット」です。

ご高齢の方はお口が乾燥してきます。
本来お口の中で使うものですが、口腔ケアする前に唇をジェルで保湿します。
お口をいきなり開けると唇が切れてしまう方もいます。
また、お口が乾いてくると入れ歯がうまく吸着してこないので・・・。

―確かに!入れ歯が吸着するには、水分がないとダメですよね。

僕は未経験でこの世界に入って、ビバ・ジェルエット(保湿剤)みたいなものの存在を知らなかったんです。

―私も初めて聞きました。

先生が使っているところを見て「あ、こういう使い方なんだ」と同じ気持ちの人は多いと思います。
「どこで買うんだろう?」と思いますが、実はドラッグストアにあります。
「そういうものがあるんだな」ということを知ってもらうことも大事です。

―他業種から来て、歯科業界のあたりまえを知らないから出来る気づきですね。

僕は完全に知りませんでした。
一から勉強させていただいたので、初めの頃の気持ちは忘れないようにしたいと思います。
そこが患者様やご家族様の視点だったりします。

―歯科の中でも訪問という特殊な世界ですが、なぜコーディネーターになられたのですか?

入社して3年目ですが、それまでは芸能関係のお仕事をやらせていただいていたんです。
ですがコロナで仕事が全然なくなってしまいました。
じゃあどうやって食っていこうか、持っているものは運転免許だけ、というスタートでした。
歯科の訪問車を見たことはあったけど、自分にとっても離れた世界で、仕事を探し始めた時に「あ、そういえば見たことあるな」と。
高い志をもってと言えれば格好いいんですけど、生きるために仕事に就きました。
入職して、よくしていただいて、学んでいくうちに現代の日本の高齢者の社会の事など身に染みて感じるようになりましたし、働いていくうちに、どんどん意味や意義を感じるようになってきましたね。
困っている高齢者の人を助けに行く、という感覚もありますよね。
そういう意味で意義のある仕事だと思っています。

―訪問時のエピソードはありますか?

まず悪いこと。
介護されているご家族はシビアな方もいらっしゃいます。
一つの連絡事項を忘れたことを気にされる方がいて、「連絡しなくてもいいか」と判断したら、「どうして連絡してくれないの」とめちゃめちゃ怒られたこともあります。
当たり前の事ですが、本当に小さなことが大きなことに繋がるということを身に染みて学びました。
あとは、良いこと。
100歳近いおばあちゃんが、上の歯が長くつながったブリッジの作製をしていました。
僕らだけじゃできないのです。先生、助手、コーディネーター、ご家族様がヘルパーさん呼んでくださって、その時だけお体を支えたりして・・・。
100歳くらいだと口を開けるのが難しいこともあります。
ご家族様は「いいものを入れたい!」という気持ちが強く、先生も型取りを1回だけでなく、2~3回取り直しました。
完成したときはキレイにできたし、ご家族様もすごく喜んでくれ、みんなで「やりましたね!」と喜び合いました。

―達成感ハンパないですね!

かなり大変だったと思うんですけど、ご高齢でもそれだけのものを入れられるという達成感、ご本人様もその思いを共有してくれたら嬉しいですね。

―チームプレイですね!

1人じゃ全く何もできないですね。
入れ歯や差し歯が入っていないお口だと、口の周りが落ち込むので、シワができて年齢が高く見えます。
入れ歯や差し歯を入れると口元が膨らんでお若く見えて・・・盛らずに10歳くらい若く見えます!

―(笑)盛らずに10歳くらい若く見える、いいですね!

やっぱり男女関わらず「若く見えますね!」といわれるとみんな嬉しいですよね。
お口の機能は食べる・飲み込むだけじゃなくて、喋るとか、見た目とか、気持ち的なところ、も大きいと思います。
食支援が一番大事ですが、食べる気持ちも大事ですのでフォローしていきたいと思います。

―お休みにしていることは?

映画を見る事とか、サウナに入る事とかですね。

―もしかして「サウナ―」ですか?!

資格を持っているので、サウナのことは何でも聞いてください。
サウナ・スパ健康アドバイザー、サウナスパプロフェッショナルのダブルライセンスです。

―すごいですね!患者様やご家族様にメッセージお願いします!

一番すごいなと思うのは、おうちでも普通の歯医者さんと同じ治療が受けられることです。「歯医者に行くの、大変だな」と思ったら、こちらから伺えるのでぜひ気軽に声をかけてください。
「一人で通院できない」が基準です、介護保険でなくても大丈夫です。
困ったことに関しては、寄り添って精一杯対応していきますので、ご安心してお任せしていただければと思います。

インタビュー:2023/3/28

取材後記

院長先生と訪問に行くことも多いとのこと。
本当にいいチームプレイが出来ているという感じが、やり取りのそこここに感じる事ができました。
「チームらいおん」の始動、楽しみです!